USB電源と負荷の間に挟むだけで、リアルタイムで電圧や電流、さらには積算電力(Wh)まで簡単に測定できる便利なアイテム、それが「USBテスター(USB電力モニター)」です。
「このモバイルバッテリー、公称容量がやけに大きいけど本当にそんなにあるの?」「このUSB電源、ちゃんと定格通りの出力が出てるのか?」
――そんな疑問を、数値で“見える化”して一発で解決してくれるのが、この小さな計測ツール。
容量や性能を“盛った”悪質な電源やバッテリーが多く出回る昨今、電気工作の現場はもちろん、スマホ充電やモバイル機器を扱う日常の中でも、持っていて損はない……いえ、個人的には“必需品”と言いたいアイテムです。
この記事では、そんなUSBテスターの基本的な使い方や、実際にどんなシーンで役立つのか、DIY目線で分かりやすく紹介していきます!
USBテスターとは?電源評価に欠かせない便利ツール
USBテスターの役割と用途
USBテスター(またはUSB電力モニター)は、USBポートを通じて流れる電圧や電流、電力量などをリアルタイムで測定できる計測ツールです。
スマートフォンやタブレットの充電性能チェック、USB充電器やケーブルの品質評価はもちろん、電気工作や電子機器のテストにも広く使われています。
初心者でも使いやすい!基本的な仕組み
使い方はとても簡単。USB電源とデバイスの間にテスターを挟むだけで、ディスプレイに数値が表示されます。
多くのモデルは、直感的に数値が読めるカラー液晶付きで、電圧(V)、電流(A)、電力量(Wh)などの情報が一目で把握できます。
測定できる項目は?
USBテスターによっては、以下のような項目を測定できます:
- 電圧(V):電源がどれくらいの電圧を供給しているか
- 電流(A):接続したデバイスがどれくらいの電流を引いているか
- 積算電力量(Wh)や容量(mAh):時間あたりの電力量や累積の電力消費量
- 接続時間や温度:長時間の測定や発熱確認にも便利
- ±DATA線電圧:USB通信の確認にも活用可能
多機能モデルであれば、さらに詳細な解析が可能です。
測定値からわかること
例えば、充電器の出力が公称どおりか?ケーブルがロスなく電力を届けているか?といった点を、数値で視覚的にチェックできます。
電圧が低すぎる、電流が不安定といった問題を早期に発見できるので、充電トラブルや電子機器の誤作動を未然に防げます。
こんなときに活躍!
- スマホの充電が遅いと感じたとき:原因がアダプターか、ケーブルかを判断できる
- モバイルバッテリーの容量チェック:公称値と実測値の差を確認可能
- 電子工作の動作確認に:電源装置の性能評価や消費電力チェックに便利
DIY用途から日常のガジェット管理まで、USBテスターは“あると手放せなくなる”ツールの一つです。
用途にあったUSBテスターの選び方
1. 対応電圧・電流の範囲をチェックしよう
まず確認したいのは、USBテスターが対応している電圧・電流の測定範囲です。
一般的には、最大20V・5A程度(PDやQCの上限)まで測定できるモデルが多いですが、電気工作や電源評価を目的とするなら、より高電圧・高電流対応の製品が必要になることもあります。
使用予定のデバイスや用途に応じて、測定範囲に余裕のあるモデルを選ぶことで、「測れなかった…」という不便を回避できます。
2. 見やすいディスプレイと表示項目の豊富さ
ディスプレイの視認性も重要なポイントです。
明るいカラー画面や、情報が見やすく整理されたレイアウトを採用しているモデルは、特に使いやすくおすすめです。
また、表示できる項目は機種によって異なります。以下のような情報が表示されるか確認しましょう。
- 電圧(V)、電流(A)
- 積算電力(Wh)、容量(mAh)
- 給電時間や内部温度
- ±DATA線電圧など
積算電力量の表示機能があると、長時間の消費電力の傾向もチェックできて便利です。
3. データの記録や積算表示の機能はある?
一部のUSBテスターには、積算表示機能やデータロギング機能(記録機能)が搭載されています。
これらの機能があれば、長時間にわたる電源評価やバッテリーの検証にも活用できます。
さらに高度なモデルでは、±DATA線電圧の測定や内部温度の表示なども可能です。
「どんな情報を測りたいか」をあらかじめ整理し、それに合った機能があるかどうかをチェックしましょう。
4. USB-AだけでなくUSB-C対応モデルを選ぶ
最近のスマホやノートPCは、USB-Cポートが主流です。
そのため、USB-Aのみ対応のモデルよりも、USB-Cにも対応したモデルを選ぶことで、対応できる機器の幅がグッと広がります。
これから購入するテスターは、「手持ちのデバイスと端子が合っているか」も確認ポイントです。
5. 価格と機能のバランスを見極めよう
USBテスターは、価格によって機能の充実度に差があります。
- 低価格帯のシンプルモデル
→ 電圧・電流の表示に特化。初心者にとっては操作が簡単で扱いやすい。 - 中〜高価格帯の多機能モデル
→ 積算電力の表示やデータ記録、複数端子対応など、電源評価や本格的な電気工作に最適。
「まずは基本機能だけ試してみたい」「しっかり分析して使いたい」など、自分の用途と予算のバランスで選びましょう。
また、価格以上の価値がある“コスパ優秀な製品”もあるので、口コミや仕様表の確認も忘れずに。
これ一台でTYPE-A&TYPE-Cに対応!USBマルチテスター
USB Type-AとType-Cの両方に対応した、便利なマルチUSBテスターです。
電圧・電流のリアルタイム測定はもちろん、積算電力量(mAh/Wh)やPD(Power Delivery)・QC(Quick Charge)の対応チェックまで、USB電源周りの診断に必要な機能がしっかり備わっています。
Amazonでも「おすすめ」表示がされている人気商品で、評価も安定しています。
Amazon発送の商品なので、保証やサポート面でも安心して購入できます。

USBテスターを使った電源評価のやり方
1. 電源の出力電流を調べる方法
たとえば、スペック上「5V3A」と記載されているAC-DCアダプターが、本当にその通りの電流を出せるのか――
これをUSBテスターで調べるには、以下のように機器を接続します。
【電源】→【USBテスター】→【負荷(抵抗器など)】
▷ 負荷の選定がポイント
電流の測定には“負荷”が必要になります。最もシンプルなのは「抵抗器」を使う方法です。
ただし、適切な抵抗値を選ばないと、正確な評価はできません。
たとえば、5Vで3Aを流すには、オームの法則より 5V ÷ 3A = 約1.66Ωの抵抗が必要です。
こんな中途半端な値の抵抗器は手に入りにくいですが、たとえば 1.5Ωと1.8Ωを並列接続して、近似値の1.65Ωを作ることができます。
▷ 抵抗器のワット数にも注意!
5V×3A=15W の電力が抵抗器にかかるため、最低でも15W対応の抵抗器が必要になります。
安全を見て、実際の3倍=45W程度の抵抗器を使うのが理想です。
⚠️ 抵抗器は非常に高温になります。火傷や火災のリスクがあるため、放熱スペースや金属板、耐熱台の使用も検討しましょう。
▷ 評価に便利な抵抗値の目安
5V電源で使用するなら用途に応じて以下のような抵抗器を用意しておくと便利です。
- 5Ω(1A)
- 2.5Ω(2A)
- 1.65Ω(3A)
私は、セメント抵抗を組み合わせた合成抵抗や、1Ω刻みのメタルクラッド抵抗(1〜10Ω)を常備して使っています。
▷ 面倒なら「電子負荷」が便利
複数の抵抗器を用意するのが大変な方には、電流量を自由に調整できる電子負荷がおすすめです。
この電子負荷については、別の記事で詳しく紹介する予定です。
2. モバイルバッテリーの「公称容量」は本当か? を調べる
最近は、30000mAhなどの大容量を公証する小型モバイルバッテリーがネット上に多数出回っています。
しかし、その公証容量が本当にあるのかは、実際に放電させて積算電力量を測定しなければわかりません。
方法は簡単で、以下のように接続するだけです。
【モバイルバッテリー】→【USBテスター】→【負荷(抵抗器など)】
▷ 測定の手順と注意点
- 2.5Ωの抵抗器を使って、約2Aで放電します。
- 放電を開始したら、バッテリーが自動停止するまで放置します(数時間かかります)。
- テスト中、抵抗器は高温になりますので、高ワット数の抵抗器を使用し、火傷に注意しましょう。
▷ 容量の換算方法に注意!
多くのモバイルバッテリーは、3.7Vセルでの容量(例:30000mAh)を表示しています。
しかし、USB出力は5Vなので、以下のように計算する必要があります。
3.7V×30000mAh = 111Wh
→ 5V換算では 22200mAh
→ さらに変換ロス20%を考慮 → 約17000mAhが実容量の目安
つまり、USBテスターで17000mAh前後の積算容量が出れば、そのバッテリーはほぼスペック通りといえます。
逆に、公証より極端に少ない値(例:10000mAh未満)しか出ない場合は、容量詐欺の可能性大。
そういう場合は、返品・交換を強くおすすめします。
⚠️ 特に通販の格安バッテリーには、容量偽装が蔓延しています。USBテスターを活用して、しっかりと確認しましょう!
USBテスターで電源評価や容量チェックを!
USBテスターは、一見シンプルなガジェットですが――
- 電源や充電器の性能を確認できる
- モバイルバッテリーの実容量を検証できる
- 電気工作での電流制御やトラブルチェックにも活躍する
など、使いこなすことで本当に役立つ“測定ツール”です。
とくに格安製品が氾濫する現代では、「スペックは本当なのか?」を自分で確かめる姿勢が大切。
USBテスターが1つあれば、目に見えなかった電力の流れを視覚化して確認できます。
自分に合ったUSBテスターを選んで、賢くDIY&ガジェットチェックを!
記事中でも紹介したように、USBテスターにはさまざまな種類があります:
- 安価でシンプルなモデル(電圧・電流表示だけ)
- 積算電力やデータ記録まで対応した高機能モデル
- USB-CやPD対応の新型テスター
どれが最適かは、「あなたの用途」と「測りたい相手(電源・バッテリー)」次第です。
USBテスターを活用して「観測して確認するDIY」をはじめよう!
USBテスターと組み合わせて便利な……
- 放熱対策済みの高ワット抵抗器(メタルクラッドなど)
- より正確に評価できる電子負荷機器
なども別の関連記事でご紹介します。
気になった方は、ぜひ手頃なUSBテスターから試してみてください!
「買ってつないで測るだけ」で、ちょっとした感動が味わえるはずです。