はんだ付け、どこでやってますか?
電子工作に欠かせない作業といえば、やっぱり「はんだ付け」。
みなさんは、これをどこで行っていますか?
専用の作業台があれば理想的ですが、実際には、普段使っている机やテーブルをそのまま使っているという方も多いのではないでしょうか。
少なくとも、私の作業環境は完全に“兼用”。
はんだ付けはもちろん、他の工作も、ご飯を食べるのも、ぜんぶ同じ――折りたたみ机の上です。
でもこのスタイル、便利な反面、ちょっとした問題もあります。
そう、机が傷つくんです。
溶けたはんだがポトリと落ちたり、熱々のはんだごての先端がうっかり触れてしまったり……。
注意していても、何度も作業を繰り返しているうちに、机の表面がだんだん焦げたり、溶けたり、ボロボロになってしまうんですよね。
そんなトラブルを防ぐために有効なのが――
耐熱・絶縁性に優れた「シリコーン製の作業マット」です。
今回は、電子工作にとても役立つ、「シリコーン作業用マット」についてご紹介します。
シリコーン製の作業マットとは?
シリコーン作業マットの役割
シリコーン作業マットは、電子工作や修理作業を安全かつ効率的に進めるための作業台用の補助アイテムです。
耐熱性・絶縁性に優れたシリコーン素材で作られており、はんだごての熱や飛び散ったはんだから机をしっかり守ってくれます。
また、細かい部品を整理しやすく、作業効率の向上にもつながります。電子工作の初心者からプロまで、幅広く活用されている便利な道具です。
電子工作でマットを使うメリット
耐熱性のあるシリコーンマットを敷くことで、高温のはんだ付け作業も安心して行えます。
部品を分類して置ける仕切り付きの製品も多く、部品の紛失を防ぎながら、位置決めや組み立てをスムーズに進められます。
特に分解作業では、小さな部品が散乱しがちですが、マットがあると整理整頓しながら作業を進められます。
なぜシリコーンなのか? その理由
数ある作業マットの素材の中でも、シリコーンが選ばれる理由は、優れた耐熱性と耐久性にあります。シリコーンは500℃近い高温にも耐え、はんだや薬品が付着しても傷みにくいため、長く使い続けることが可能です。
さらに、シリコーンは柔らかく滑りにくい素材のため、小さな部品が転がりにくく、作業中の安定感にも優れています。また、電気を通さない絶縁体でもあるため、基板をマットの上に直接置いて電源を入れても安心して作業できます。
マグネット付きのタイプなら、鉄製の工具や部品を固定できるため、手元が散らかりにくくなり、作業効率も向上します。
※ちなみに、「シリコーン(Silicone)」は有機ケイ素化合物であり、半導体に使われる「シリコン(Silicon:元素記号Si)」とは異なる素材です。
サイズの選び方 〜作業空間に合ったマットを〜
シリコーンマットは作業台のサイズや作業内容に合わせて選ぶのがポイントです。
大きめの基板を扱うならワイドサイズが適しており、コンパクトな作業机ならミニサイズが使いやすいでしょう。
市販のものでは、280×200mm程度の小型から、450×295mm、さらには900×900mmといった大型サイズまで揃っています。
使用するスペースと作業の流れに合わせてサイズを選ぶことで、快適でストレスの少ない作業環境を整えることができます。

はんだ付け作業用のシリコーンマット、買うならどれがいい?
さまざまなメーカーから多彩な製品が登場
はんだ付け用の作業マットは、電子工作や修理作業に欠かせないアイテムとして、多くのメーカーから様々な仕様で販売されています。用途や作業スタイルに合わせて選べるため、初心者からプロまで幅広く対応できる製品ラインナップが揃っています。
Amazonや楽天で気軽に購入可能
これらのマットは、Amazonや楽天などの大手通販サイトで手軽に購入できます。価格帯は非常に広く、1000円以下のエントリーモデルから、高価な業務用レベルの高耐久・大型モデルまで多彩です。
プロ向けの「半導体分野用マット」も流通しており、本格的な現場作業に対応するスペックを備えた製品も選択肢に入ります。
耐熱性と耐腐食性のポイントを押さえる
購入時に特に注目したいのが、耐熱性と耐腐食性です。
- 耐熱性:高温のはんだごてや部品に触れても、マットが変形したり焦げたりしないことが重要です。シリコーン製なら500℃程度の耐熱性を持つ製品が多く、安心して作業できます。
- 耐腐食性:フラックスや溶剤が付着する作業では、耐腐食性も必須です。これが高い製品は長期間の使用でも劣化しにくく、信頼性の高い作業環境を維持できます。
購入時の注意点:価格と機能のバランスを見極める
はんだ作業マットを選ぶ際は、自分の用途に必要な機能を過不足なく備えた製品を、予算内で選ぶことが大切です。
初心者や趣味で始めたばかりの方であれば、1000円前後のベーシックなマットでも十分実用に耐えます。マットを敷くだけで作業性や安心感が大きく変わるので、最初の一枚として導入する価値は大きいです。
また、Amazonのタイムセールや楽天のポイントアップ期間などを狙えば、よりお得に購入できます。

ダイソーの代用品という選択肢
意外なところでは、100円ショップのダイソーでも38cm×27cmのシリコーンキッチンマットが220円で入手可能です(2025年5月現在)。厚みは専用品に比べて薄めですが、私も専用品を購入するまではこのマットを使用しており、はんだ付け作業用として問題なく活用できていました。
ただし注意点として、100均製品は安定供給されないため、いつ廃番になるかわからない点は理解しておきましょう。
実際にはんだ付け作業マットを使用した感想
私の場合、100円ショップでシリコーン製のキッチンマットが110円で手に入るうちは、ずっとそれをはんだ付け作業に使っていました。
正直なところ、はんだごてをマットにグリグリ押しつけて故意に破壊でもしない限り、普通のはんだ付け作業ではまったく問題ありませんでした。
ただ、近年の物価高の影響で、そのマットが220円に値上がりしたのをきっかけに、「それなら専用品を買ってもいいか」と思い、ついに購入を決意。
机を保護するという目的だけで見れば、100均のマットでも専用品でも効果は大差ないのですが、やはり専用品は厚みや作りがしっかりしていて、作業のしやすさが段違いでした。
趣味の電気工作といえども、やはり専用の道具を使うことで、作業効率がじわじわと良くなっていく実感があります。
もちろん、高価なものを買う必要はありませんが、手頃な価格の専用マットに切り替えることは、決して無駄な投資ではないと思います。

机と作業効率を守護る、シリコーンマットのすすめ
電子工作では、工具や部品選びと同じくらい、「作業環境を整えること」も大切なポイントです。特にはんだ付け作業は熱を扱うため、机を守る対策を怠ると、気がつけば表面が焦げたり溶けたり……という残念な事態にもなりかねません。
そんなリスクを防ぎ、快適な作業環境をつくるために、耐熱・絶縁性に優れたシリコーン製の作業マットは、非常に心強いアイテムです。
私自身、長く代用品を使ってきましたが、専用品に変えたことで作業効率が上がり、「もっと早く使えばよかった」と感じています。
まだ使ったことがない方は、ぜひ一度、手頃なものから試してみてください。机を守るだけでなく、あなたの電子工作のモチベーションや完成度にも、きっと良い変化があるはずです。