部品の固定から絶縁にまで使えて便利
グルーガンは、ホットメルト(熱で溶かして接着する)接着用のツール。棒状の「グルースティック」を本体に差し込み、ヒーターで溶かして使います。
溶かしたグルーを部品の根本にちょいと垂らせば、配線をがっちり固定できます。絶縁効果もあるので、基板むき出しの回路のランド面にグルーを乗せておけば、仕上がりのきれいさを犠牲にすれば、うっかりショートさせる事故も防げます。
部品を空中配線したとき保護、被覆が裂けたケーブルをグルーでコーティングして応急補修、部品の仮止めなどなど……グルーガンはわりとどこにでも使える万能ツールです。
電気工作DIYを楽しむのであれば、絶対に必要ではないが、持っていて損はない道具だと私は感じています。
硬化時間が長いボンドやシリコンと違い、溶けたグルースティックが冷えれば固まるので、作業時間の短縮になります。
電気工作系のDIYを楽しむのなら、是非所持しておきたい道具です。
ただし低温、テメーはダメだ!
小見出しネタのため、冒頭ではあえてそこに触れませんでしたが、グルーガンには「低温タイプ」と「高温タイプ」があり、その違いはノズルの加熱温度にあります。
この最高温度の差によって、使用できるグルースティックの材質が異なってきます。
また、価格についても、一般的に低温用より高温用のグルーガンやグルースティックのほうが高価です。
タイプ | ノズル温度 | 対応グルースティック | 特徴 |
---|---|---|---|
低温タイプ | 約120〜160℃ | 低融点スティック(EVA以外) | 火傷等の危険は少ないが、接着力は弱い。手芸など軽作業向き |
高温タイプ | 約190〜220℃ | EVA系グルースティック | ヤケド注意。接着力が強く、樹脂・金属にも有効。DIY向け |
しかし、高くても電気工作で使うなら、断然「高温タイプ」がおすすめ!
高温用のEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)系のスティックは、ポリプロピレン樹脂製のケースやケーブル類でも強力に接着してくれます。
ちなみに、車載用の作品の固定に低温スティックを使うと、夏の車内の温度は60℃以上になりますので、接着部分が融解してバラバラになります。
ただし、低温が全部ダメというわけではなく、手芸用途やお子さんの工作には安全性を考慮して低温タイプが向いています。適材適所、ですね!
グルースティックの材質と温度対応表
材質名 | 主な使用温度帯 | 高温/低温 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂) | 約160〜200℃ | 高温・低温両対応(※主に高温) | 標準的なグルースティック素材。接着力・柔軟性のバランスが良く、絶縁にも向く | 電気工作、木材、プラ、紙など |
PA(ポリアミド) | 約130〜180℃ | 低温(まれに高温) | 柔らかめ、再加熱で粘着が戻る場合あり | クラフト、手芸、紙類 |
ポリエステル系樹脂 | 約100〜150℃ | 低温 | 透明度が高く、美観重視。接着力はやや弱い | 布、紙、装飾など |
PE(ポリエチレン)系混合樹脂 | 約90〜120℃ | 低温 | 非常に低温で溶けるが、接着力が弱め。安全性重視 | 子供向けグルーガン、仮止め用途 |
補足
- 高温用は200℃前後で使用する設計のため、しっかりとした接着力を必要とする電気工作や樹脂接着に最適。
- 低温用は120〜160℃前後で溶けるため、安全性が高く、紙や布などのクラフト用途に向いています。
- 電気工作にはEVAの高温タイプ一択!と言っても過言ではありません。
グルーガン選びで失敗しないポイント
✅ 対応スティック径をチェック!
→ 一般的にはφ7mmとφ11mmが主流。ガン本体とスティックの径が合っているかは要確認。
(※非推奨ですが、大きい径のガンに細いスティックは物理的に押し込めば出てくることもありますが、トラブルの元)
✅ 高温タイプを選ぼう(電気工作なら)
→ 高温対応であるか、商品ページに仕様がしっかり書いてあるものをチェック。
✅ 先端が細いノズルのタイプがおすすめ
→ 細かいパーツにピンポイントでグルーを垂らすには、ノズルの形状が重要です。
また、グルーガンは使用中や加熱中にノズルの先端からグルーが垂れてくることがありますが、それを防ぐ「垂れ防止機構」がついた製品もあります。
✅ スイッチ付きが便利!
→ 電源を入れたままでもスイッチで待機できるタイプは安全面・節電面でも◎
✅ 安物注意!安定しない温度、すぐ壊れることも
→ 安価な製品は、温度が安定せずダマになりやすい、スティックが送り込めない、ノズルが溶ける……などのトラブルも。口コミはしっかりチェック!
✅ Amazon配送の商品が安心
→ 初期不良等の返品、返金の対応がしっかりしているため、グルーガンのような当たり外れのあるツールではAmazon配送品を選ぶのが無難。
グルーガンとグルースティックは100均でも買える買えるけれど……
最近では、さすがに「100円ぽっきり」というわけにはいかなくなり、100円商品しか扱わないセリアではグルーガンを見かけなくなりましたが、ダイソーでは今もグルーガンが200円、スティックが100円で購入できます(ともに税別価格)。
ただし、これらは「低温タイプ」。
融点が低く、接着力も弱めなので、手芸や子どもの夏休みの工作といった軽作業向きです。電気工作のように強度や耐久性が求められる用途にはあまり向いていません。
とはいえ、木材などの接着であれば、ダイソーの低温タイプでもしっかり使える場面もあります。
おすすめのメーカー例(※Amazonでよく見る安心ブランド)
グルーガンは価格帯や用途に応じてさまざまなメーカーが製品を出していますが、電気工作向けにしっかり使える信頼性の高いメーカーとしては、以下のようなものがあります。
高儀(Takagi)
日本の老舗工具メーカー。DIY初心者から上級者まで幅広く支持され、手頃な価格で実用性の高いグルーガンを展開しています。
ボッシュ(BOSCH)
世界的な電動工具ブランド。高耐久・高精度で、安全性や安定性に優れています。しっかりした作りで安心して使えます。
SK11(エスケーイレブン)
DIY向けツールを数多く手がける国内工具メーカ、藤原産業のスタンダードブランド。コストパフォーマンスに優れ、入門用にもピッタリです。
HOTO(ホト)
デザイン性と実用性を両立したスマートDIYツールが特徴の新進気鋭メーカー。USB充電式グルーガンなども展開しており、スタイリッシュかつ実用的。
GoGonova(ゴゴノヴァ)
比較的新しいブランドですが、LED付きや自立式などユニークな機能を備えたグルーガンが揃っており、Amazonなどで高評価を得ています。
その他にも、グルースティックとの相性が良いように設計された純正メーカー品や、レビューで評価の高いAmazon限定ブランドも選択肢になります。
これはいいかも!Anesty GG-02 グルーガン
Amazonで星4.2の高評価を得ている、信頼性のあるグルーガンです。
7mmグルースティック対応・予熱90秒・50W出力と、家庭用から工作用途まで幅広く使える基本性能をしっかり備えています。
収納に便利な専用ケースが付属し、グルースティックも30本同梱されているので、届いてすぐに作業を始められます。
コストパフォーマンスもよく、初めての1台としてもおすすめです。

Anesty(アネスティー)について
Anesty(アネスティー)は、DIYやホビー用途の電動工具・クラフトツールを中心に展開している中国系のブランドです。特にグルーガンやエアブラシなど、手軽に使える電動ツールの分野で人気があり、コストパフォーマンスの高さと扱いやすさが評価されています。
Amazonなどの大手通販サイトでは、初心者向けの入門ツールから実用性の高いモデルまで、幅広い製品がラインナップされており、レビュー評価も安定しています。
「手頃な価格で、すぐに使える実用性」を求める方にぴったりのブランドと言えるでしょう。
グルーガンは“万能接着&絶縁ツール”
はんだ付けの後処理や、配線の固定、部品の仮止め……。「手軽に固定したい」「短絡の防止に」といった場面で、グルーガンは無限の可能性を発揮してくれます。
DIYに一歩踏み出したばかりの方も、すでに電子工作を楽しんでいる方も、ぜひ一本は持っておきたい道具です。
高温タイプ+細ノズル+信頼メーカーの一台をぜひ!