可変式DC安定化電源の基本とおすすめ紹介!【初心者向け解説】電子工作の必需品

  1. 電気工作をすると欲しくなる可変式直流安定化電源
  2. 直流安定化電源とは?
    1. 直流安定化電源の仕組みと役割
    2. 直流安定化電源の主な用途
    3. 初心者が知っておきたい基本スペックの知識
    4. スイッチング方式とドロッパ方式の違い
      1. 仕組みの補足解説
        1. ■ スイッチング方式の仕組み
        2. ■ ドロッパ(リニア)方式の仕組み
    5. 定電圧と可変電圧の特徴
  3. 用途別の直流安定化電源の選び方
    1. 電子工作向けには小型&軽量モデルがおすすめ
    2. 大電流が必要な用途には放熱性能に注目
    3. 実験・計測用には精度とトラッキング機能を重視
    4. 無線機器用途には低ノイズ&高安定出力を
    5. 真空管アンプなど特殊用途は高電圧対応モデルを
  4. 初心者が買うなら、おすすめの直流安定化電源
    1. 手軽に使える低価格の完成品モデルが狙い目
    2. 電圧固定電源+昇降圧モジュールの組み合わせもあり
    3. 高精度な調整が求められるシーンにも対応できる
    4. ドロッパ方式の魅力:ノイズの少なさと安定性
    5. USB充電ポート付きモデルも便利!
  5. おすすめの直流安定化電源メーカー・ブランド3選
    1. ①【KAIWEETS(カイウィーツ)】
    2. ②【WANPTEK(ワンプテック)】
    3. ③【RIGOL(リゴル)】
    4. 最初の1台におすすめ HANMATEK 可変直流安定化電源 DC電源 HM305M
      1. HANMATEK(ハンマテック)とは?
        1. HANMATEK製品の特徴
      2. こんな人におすすめ!
  6. まずは使ってみることが一番の近道!

電気工作をすると欲しくなる可変式直流安定化電源

 電気工作を始めると、作った回路を動かすための電源として、「直流安定化電源」が欲しくなってきます。
 特に回路によって異なる電圧が必要になる場面では、電圧を自由に調整できる「可変式」でないと不便を感じることが多いです。

 また、安定化電源には、入力電圧や接続される負荷、周囲の温度といった条件に左右されず、安定した電圧を供給する「定電圧(CV)動作」と、一定の電流を供給できる「定電流(CC)動作」の両方が求められます。

 電気工作DIYをしっかり楽しみたい方なら、こうした基本機能を備えた可変式DC安定化電源を1台持っておくと、とても便利です。
 これがないと、必要な電圧ごとに電源を探したり、流用したりと、毎回いろいろ苦労することになります。


直流安定化電源とは?

直流安定化電源の仕組みと役割

 直流安定化電源(DC電源)は、家庭用コンセントなどのAC(交流)電力をDC(直流)に変換し、安定した電圧や電流を供給するための装置です。
 電子回路や機器を動作させるために、一定の品質で電力を出力することが求められる場面では、なくてはならない存在です。

 この変換は、主に以下のような仕組みで行われます:

  • 整流回路:交流電力を直流に変換
  • フィルタ回路:ノイズや電圧の揺らぎ(リップル)を除去
  • レギュレーター(制御部):出力電圧・電流を安定化

 とくに可変式のDC安定化電源は、出力電圧や電流を自由に設定できるため、さまざまな回路に対応可能で、電子工作や趣味の電気工作に最適です。


直流安定化電源の主な用途

 直流安定化電源は、以下のように幅広い分野で活用されています:

  • 電子基板の試作・動作確認(趣味の電子工作)
  • 研究室や実験施設での回路評価試験
  • アマチュア無線や音響機器の調整
  • 真空管アンプや模型など、電源品質が問われる自作機器

 こうした用途では「定電圧(CV)」「定電流(CC)」の安定した出力が特に重要です。


初心者が知っておきたい基本スペックの知識

 初めて購入する際にチェックすべきポイントには、次のような仕様があります。

  • 電圧範囲(V):最大で何Vまで出力できるか
  • 電流範囲(A):最大で何Aまで流せるか
  • 出力電力(W):電圧×電流で計算される最大出力

 例えば、
 OUT 30V / 5A と表記されていれば、最大で30V、5Aの出力が可能です。
 しかし、さらに MAX 40W のように記載がある場合、その電源の最大出力は40Wとなります。

 この場合

  • 30V × 1.3A ≒ 39W → 30V出力では1.3Aまでしか流せません
  • 5A流すなら 40W ÷ 5A = 8V → 電圧は8Vまでに制限されます

 こうした電力制限を無視してしまうと、内部回路が過熱し、最悪の場合は発煙・故障の原因になります。
 購入前には、スペックと使いたい用途が合っているかをしっかり確認しましょう。


スイッチング方式とドロッパ方式の違い

 直流安定化電源には、大きく分けて「スイッチング方式」と「ドロッパ(リニア)方式」の2種類があります。
 以下の表で、それぞれの特徴や用途を比較してみましょう。

方式特徴メリットデメリット向いている用途
スイッチング方式トランジスタを高速でオン・オフし、パルス制御とインダクタ・コンデンサで出力を安定化高効率・小型軽量・発熱が少ない・広い電圧範囲に対応高周波ノイズが多め・構造が複雑・オーディオには不向き電子工作全般・モバイル機器・実験用の多用途
ドロッパ方式(リニア方式)入力電圧をトランジスタで抵抗のように「絞って」出力を一定にする構造がシンプル・低ノイズ・高精度な電圧制御低効率・発熱が大きい・電圧差によって無駄な消費が発生音響機器・アナログ回路・ノイズに敏感な実験

 このように、それぞれの方式には向き・不向きがあります。
 一般的な電子工作やDIYで使う場合には、まずはスイッチング方式の可変電源がコスパ的にもおすすめです。

仕組みの補足解説

■ スイッチング方式の仕組み

 スイッチング方式では、トランジスタを高速でオン・オフ(スイッチング)することでパルス状の電力を発生させ、それをインダクタ(コイル)やコンデンサで滑らかな直流に変換します。
 制御ICがフィードバック信号を元にオン・オフの比率(デューティ比)を調整し、目標電圧・電流に安定化します。

  • メリット:高効率(90%以上)、小型、軽量、発熱が少ない
  • 注意点:ノイズが出やすいため、オーディオ系には不向きなことも
■ ドロッパ(リニア)方式の仕組み

 ドロッパ方式は、入力電圧をトランジスタやFETで電流制限しながら出力を一定に保つ方式です。
 仕組み自体はシンプルで、電圧を抵抗的に落とすためノイズが少なく、アナログ回路や音響機器の電源に適しています。

  • メリット:ノイズが少なく非常に安定した出力が可能
  • デメリット:入力と出力の電圧差が大きいと、その分が熱になって無駄になる(効率が低い)

定電圧と可変電圧の特徴

 DC電源の出力には、以下のような動作モードがあります:

  • 定電圧(CV:Constant Voltage)モード
     設定した電圧をキープしつつ、負荷(回路)に応じて電流が変動します。機器の動作確認などに便利。
  • 定電流(CC:Constant Current)モード
     設定した電流で出力を維持し、必要に応じて電圧が調整されます。LEDの点灯試験や電流制限のある回路で使用。
  • 可変電圧モード(可変CV)
     つまみやボタンで電圧を自由に調整可能。電子部品のテストや、未知の回路の確認など幅広く対応可能。

 可変式DC安定化電源は、上記すべての機能を1台でカバーできるため、電気工作を趣味とする方にとって非常に心強いツールです。

用途別の直流安定化電源の選び方

電子工作向けには小型&軽量モデルがおすすめ

 電子工作を趣味にしている方にとって、直流安定化電源は必須のアイテムです。中でも、小型・軽量なモデルは作業スペースが限られている場合や持ち運びに便利で人気があります。

 特に、可変式DC安定化電源は出力電圧・電流を自由に設定できるため、さまざまな電子回路の動作確認や試作に最適です。最近ではUSB出力を備えたモデルも登場しており、スマートフォンやガジェット類の充電にも活用できます。

 電子工作用途では、使い勝手とコストパフォーマンスを重視して選ぶのがポイントです。


大電流が必要な用途には放熱性能に注目

 モーターの駆動や高出力LEDの点灯など、大電流を必要とする用途では、出力電流の最大値に加え、安定動作に必要な放熱性能や安全機能が重要です。

 負荷(接続された機器)が要求する電流は、電源の設定値に応じて流れるため、必要以上の電流設定をすると故障や発熱の原因になることもあります。

 出力電流だけでなく、内部保護回路(過電流・過熱保護など)や冷却構造(ファン付き or ヒートシンク)にも注目して選ぶと安心です。


実験・計測用には精度とトラッキング機能を重視

 研究や評価試験といった実験用に使う場合、出力電圧や電流の精度と安定性が求められます。特にオペアンプを使ったアナログ回路など、繊細な回路では電源の質が実験結果に大きく影響します。

 また、トラッキング機能付きの電源なら、正電源と負電源を連動して制御できるため、両電源(±電圧)を必要とする回路でも便利です。

正負電源とは?
通常の単電源(0〜+V)とは異なり、例えば「±12V」のようにプラスとマイナス両方の電圧を供給するタイプ。オペアンプなどのアナログICでよく使われます。

 なお、負荷電流が小さい場合は、単電源から正負電源を作れる「レールスプリッター」回路や、既製の昇降圧変換モジュールを利用する方法もあります。手軽に両電源を得たい方にはおすすめです。


無線機器用途には低ノイズ&高安定出力を

 無線機器や高周波回路に使用する場合は、出力の安定性とノイズ(リップル)性能に注目しましょう。
 電源のノイズは、無線の通信品質や受信感度に影響を及ぼすため、スイッチングノイズの少ないクリーンな出力が理想です。

 加えて、微調整ノブや出力切り替えスイッチなど、出力設定の自由度が高いモデルを選ぶと、多機種対応しやすくなります。


真空管アンプなど特殊用途は高電圧対応モデルを

 真空管アンプの製作など、高電圧を必要とする特殊な用途では、最大250V以上に対応した直流安定化電源が必要です。こういったケースでは専門性も高くなるため、対応モデルの選定や接地方法にも注意が必要です。

※こうした高電圧用途は中・上級者向けです。初心者の方はまず30V/5Aクラスの可変式安定化電源から始めるのがおすすめです。


初心者が買うなら、おすすめの直流安定化電源

手軽に使える低価格の完成品モデルが狙い目

 初めて直流安定化電源を購入するなら、手軽に使えて価格も手ごろな完成品モデルがおすすめです。

 Amazonで「実験用電源」や「可変式安定化電源」と検索すると、5,000〜6,000円程度で購入できる入門向けモデルが多数見つかります(タイムセールならさらに安くなることも)。

 例えば「30V・5A」クラスのスペックがあれば、電子工作の多くの用途をカバー可能です。
 この価格帯でも、定電圧(CV)・定電流(CC)の切り替え機能があり、操作もシンプルなので初心者にも扱いやすいです。

✅ 最初の1台としては、完成品で低価格・可変式・デジタル表示のモデルがベストです。


電圧固定電源+昇降圧モジュールの組み合わせもあり

 コストを抑えたい場合、電圧固定のスイッチング電源に、昇降圧(DC-DC)モジュールを組み合わせて実験用電源にする方法もあります。

 ポイントは、以下のような機能を備えた昇降圧モジュールを選ぶことです:

  • 電圧・電流ともに可変
  • 定電圧/定電流制御(CV/CC)対応
  • デジタル表示付き(できれば)

 例えば、私が使っている構成は以下のとおりです。

🔌 12V 10Aスイッチング電源 + 昇降圧モジュール SK-90
SK-90は、DC0.5〜36V / 0〜5A、最大90W出力が可能なモジュールです。AliExpressで両方合わせて約3,000円で購入しました(Amazonにもあり)。

 また、不要になったPCのATX電源やSFX電源を活用する手もあります。24ピンの電源コネクタの特定ピン(例:16番とGND)を短絡させれば、単体で起動可能です。

 PC電源なら以下のような出力が使えます:

  • +12V、+5V、+3.3V、-12V など
  • 大電流対応
  • モジュールと組み合わせて多用途に活用可能

⚠️ PC電源流用は多少の知識と工作が必要なので、初心者には少しハードルがあるかもしれません。


高精度な調整が求められるシーンにも対応できる

 電子工作や試作段階で、微細な出力調整が必要になる場面もあります。
そういったときには、電圧・電流ともに0.1V / 0.1A単位で調整・表示できるモデルが便利です。

 最近では、5,000円台の完成品や昇降圧モジュールでも、こうした高精度設定ができる製品が増えています。
 初心者でも、安価で高機能な電源を手に入れやすくなっているのはうれしいポイントです。


ドロッパ方式の魅力:ノイズの少なさと安定性

 ドロッパ方式(リニア方式)の直流安定化電源は、ノイズが非常に少なく、出力が安定しているのが特長です。
 このため、オーディオ機器やアナログ回路、センサー回路などノイズに敏感な用途に最適です。

 また、構造がシンプルで信頼性も高く、長時間の連続運転にも強いです。

💡 最近はスイッチング方式でも十分に静音・高精度なモデルが増えていますが、「究極のクリーンさ」を求めるなら、やはりドロッパ方式が有利です。


USB充電ポート付きモデルも便利!

 最近では、USB充電ポートを搭載した直流安定化電源も多く登場しています。

  • 電子工作をしながらスマートフォンやタブレットを充電できる
  • USBファンやLEDライトなども一緒に使える
  • 作業環境がスッキリして便利

 こうしたモデルは、電子工作以外の用途にも役立つため、初心者にも人気です。


おすすめの直流安定化電源メーカー・ブランド3選

①【KAIWEETS(カイウィーツ)】

 中国系ながら品質が安定しており、コスパの高さで人気。テスターなどの計測器メーカーとしても有名で、実験用DC電源も充実しています。

  • デジタル表示・定電圧/定電流機能を搭載
  • 30V/5Aあたりの基本スペックモデルが主力
  • 本体にUSBポート付きのモデルもあり、実用性◎

👉 おすすめ層:電子工作初心者〜趣味で本格的にやりたい人向け


②【WANPTEK(ワンプテック)】

 実験用・可変式電源の定番的ブランド。Amazonでのレビュー数も多く、安価で必要十分な性能が手に入る点が魅力です。

  • 安定出力・低リップル仕様
  • 一部モデルにはUSB QC対応ポートも
  • ファン付きでしっかり冷却、高出力でも安心

👉 おすすめ層:電子工作やLEDテストなど幅広い用途で使いたい人


③【RIGOL(リゴル)】

 プロフェッショナル寄りな製品を展開する高品質ブランド。オシロスコープや測定器で有名ですが、電源も高精度な製品を揃えています。

  • 正負2電源やマルチチャンネルモデルもあり
  • 出力精度が高く、実験・研究用途にも耐える
  • 価格は高めだが信頼性は抜群

👉 おすすめ層:高精度を求める中級者〜上級者、研究・評価用途向け


 これらのメーカーはいずれもAmazonなどで手軽に購入でき、レビュー情報も豊富なので、安心して選びやすいです。


最初の1台におすすめ HANMATEK 可変直流安定化電源 DC電源 HM305M

 個人での電子工作に最適な、安価でコンパクトな直流安定化電源を探している方には、HANMATEK製「HM305M」がおすすめです。
 5,000円台という手頃な価格ながら、出力範囲は0〜30V/0〜5Aと十分なスペックを備えており、電圧は0.1V単位、電流は0.01A単位で細かく調整可能です。
 初心者にも扱いやすく、ディスプレイ表示も見やすいので、実験用の電源を初めて扱う方にも安心のモデルです。

 このクラスの電源が1台あれば、多くの工作や実験に対応でき、当面の間は困ることはないでしょう。
 コストパフォーマンスに優れ、レビュー評価も高く人気のモデルです。
 タイムセールでさらにお得になることもあるので、購入タイミングを見計らうのもアリですよ。

HANMATEK(ハンマテック)とは?

 HANMATEK(ハンマテック)は、電子計測機器やラボ用電源機器を専門に展開している中国のメーカーで、高コスパ&扱いやすい設計が特徴です。
 プロ向けの高級機器ではなく、ホビーユースや個人の電子工作用途に最適な価格帯と性能の製品を多数リリースしています。

 中でも、可変直流安定化電源(DC電源)やUSBテスター、オシロスコープ、マルチメーターなどのカテゴリでは、AmazonやAliExpressなどでも多くの高評価レビューを集めています。


HANMATEK製品の特徴
  • 価格が手頃(入門者でも手に取りやすい5,000〜10,000円台)
  • 操作がシンプルで、直感的に使えるUI設計
  • 出力精度もそこそこ高く、DIY用途には十分
  • ✅ Amazon出荷のモデルもあり、国内でも入手しやすい
  • ✅ タイムセールの常連で、狙い目タイミングあり!

こんな人におすすめ!

  • はじめて実験用の電源を購入する人
  • 安くて信頼できるDC電源を探している電子工作ファン
  • 機能は絞ってシンプルで使いやすい機材が欲しい人

 製品ラインアップも年々アップグレードされていて、初学者から中級者までカバーできる定番ブランドのひとつと言える存在です。
「コスパ重視だけど、ギャンブルに近い中華ガチャは避けたい…」という方にも、かなり安心感のある選択肢になりますよ!


まずは使ってみることが一番の近道!

 直流安定化電源は、電子工作をする上で欠かせないアイテムのひとつです。
「難しそう」と感じる方も多いかもしれませんが、最近のモデルは操作もシンプルで、手頃な価格のも のも豊富にそろっています。

 まずは入門向けの完成品モデルから使い始め、少しずつ仕組みや用途を理解していくと良いでしょう。
 慣れてきたら、昇降圧モジュールやドロッパ方式など、目的やこだわりに合った電源選びを楽しめるようになります。

 電子工作の世界は、電源ひとつでぐっと快適になります。
 ぜひ自分に合った一台を見つけて、より充実した電子工作ライフをスタートしてください!

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