ヒートガンとは? 基礎知識と特徴
持っていると工作の幅が広がるヒートガン
送風口から熱い風を吹き出す、見た目はドライヤーに似た工具、それがヒートガンです。
一見ドライヤーでも代用できそうに思えますが、実はまったくの別物。両者では、吹き出す熱風の温度に大きな違いがあります。
この記事では、ヒートガンの基礎知識と、電子工作での便利な使い方についてご紹介します!
ヒートガンの基本的な構造と仕組み
ヒートガンは、内蔵されたヒーターとファンによって熱風を発生させる仕組みになっています。
電源を入れるとヒーターが加熱され、ファンが周囲の空気を取り込み、熱風となって吹き出します。
温度は機種によってさまざまですが、高性能なモデルでは100℃〜500℃以上の範囲で温度調整が可能。
一方、安価なモデルは温度調節機能がないものもあります。
ヒートガンは電子工作からDIYまで、幅広い作業に活用できる便利なツールです。
電子工作におけるヒートガンの役割とは
電子工作では、ヒートガンがかなり役立ちます。
たとえば、熱収縮チューブの加工や、基板の予備加熱などに大活躍。
特に熱収縮チューブは、ライターで炙ると焦げてしまうリスクがありますが、ヒートガンなら均一な加熱で美しく仕上がります。
また、基板を予備加熱しておくことで、はんだ付けや部品の取り外しがスムーズになり、周囲への熱ダメージを減らすことができます。
細かい作業をするときは、熱風を集中させるための細いノズルを使うと、さらに効率的です。
ドライヤーとの違いとメリットを比較
ドライヤーとヒートガンは見た目こそ似ていますが、用途も性能も大きく異なります。
ドライヤーは髪を乾かすためのもので、温度は60℃〜100℃程度、風量も控えめです。
一方ヒートガンは、100℃以上、機種によっては500℃以上の高温風を出すことができ、作業向けに設計されています。
ドライヤーでは熱が足りずにできない作業も、ヒートガンなら迅速かつ正確に対応できるのが大きなメリットです。
また、温度設定やノズル交換により、用途に応じた細かな調整ができるので、作業の幅もぐっと広がります。

ヒートガンを使った基本的な電子工作テクニック
熱収縮チューブの加工手順
熱収縮チューブは、配線の保護に欠かせないアイテム。
ヒートガンを使えば、均一に加熱できるため、仕上がりがきれいです。
加工手順は簡単で、まずチューブを適切な長さにカットし、配線に通しておきます。
ヒートガンに温度設定があるのなら70〜90℃くらいに設定し、なければ距離で調整しながら、チューブ全体を均一に加熱します。
焦がさず、きれいに収縮させるには、ヒートガンがベストです。
はんだ外しや部品のリワーク方法
電子工作では、時に基板上の部品を取り外して修正することもあります。
そんな時も、ヒートガンは強い味方。
基板全体を軽く予熱してから、外したい部品にピンポイントで熱をあてると、無理なく取り外せます。
特にSMD部品(表面実装部品)などは、専用ノズルを使って集中的に加熱すると、効率よく安全に作業できます。
接着剤や樹脂素材の処理活用術
ヒートガンは、硬化した接着剤を剥がしたり、樹脂素材を加工する時にも便利です。
例えば、基板をケースに固定していた接着剤や、分解時に邪魔になる両面テープを、温めて柔らかくしてから剥がすと、破損リスクが減ります。
また、プラスチックパーツを加熱して曲げたり、微調整する加工にも使えるので、電子機器のカスタマイズにも応用可能。
ヒートガンが一台あると、作業の自由度が一気に広がります。
おすすめヒートガン
初心者向けのヒートガン選びガイド
ヒートガンは、電子工作をスムーズに進めるためにとても便利なツールです。
ただ、初めて選ぶときには「どれを選べばいいんだろう?」と迷ってしまうかもしれません。
初心者向けに選ぶポイントは、操作が簡単で、安全機能がしっかりしていること。
たとえば温度調整機能があるモデルなら、作業内容に合わせて適切な温度に設定でき、部品へのダメージを防ぎやすくなります。
また、コンパクトで軽量なものを選ぶと、取り回しが良く、初めての作業でも扱いやすいです。
耐熱性グリップや、過熱時に自動で電源が切れる機能が付いたモデルなら、さらに安心ですね。
初心者におすすめなのは、小型でシンプルな操作性の製品や、手軽に予備加熱ができるタイプ。
こうしたモデルは比較的価格も手頃で、基本的な電子工作には十分対応できます。
そして、もうひとつ注意しておきたいのが使用電力(W数)。
出力が高いプロ仕様の大型ヒートガンを選んでしまうと、家庭用ブレーカーが落ちるトラブルの原因になることも。
趣味の電子工作なら、そこまで高出力のものは必要ないので、無理に大きなモデルを選ばないのがポイントです。
個人的におすすめしたいのは300Wクラスの小型モデル
最初の一台として、個人的におすすめしたいのは、300Wくらいのコンパクトなヒートガンです。
価格も1000円前後と手頃で、気軽に導入できます。
このくらいの消費電力なら、普通の家庭用コンセントで安心して使えますし、ブレーカーが落ちる心配もほとんどありません。
「でも、300Wじゃ温度が低いんじゃないの?」と心配になるかもしれませんが、実際は十分使えます。
熱収縮チューブもきれいに収縮しますし、接着剤や両面テープを柔らかくして剥がす作業にもバッチリ対応できます。
さらに、細めのノズルを用意すれば(アルミパイプなどで自作するのもあり)、基板上の部品を取り外すためにはんだを溶かす作業にも使えます。
ただし、細いノズルを付けた状態で長時間連続運転すると、温風が抜けにくくなり、本体が加熱して安全装置が作動→停止することがあるので、そこは注意しましょう。
それでも、こんなコンパクトなヒートガンが一台あるだけで、電子工作の作業効率はぐっとアップします!
持っておいて損はありません。
実際に使っているヒートガン
私自身が使っている、300Wクラスのコンパクトヒートガンです。
使い勝手もよく、電子工作の現場で大活躍しているので、これから始める方にも自信を持っておすすめできます!


コンパクトながら十分なパワーがあり、電源オン・オフだけの簡単操作。初めてのヒートガンにもぴったりです。
温度調節はできませんが、熱収縮チューブの加工や、軽めのリワーク作業なら問題なくこなせます!
まとめ:ヒートガンは電子工作の必須アイテム!
ヒートガンは、熱収縮チューブの加工、基板の予備加熱、接着剤剥がし、樹脂加工など、電子工作のさまざまな場面で活躍する便利なツールです。
一台持っているだけで、作業の幅がぐんと広がります。
初めて選ぶなら、手頃な価格で取り回しやすいコンパクトモデルがおすすめ。
ぜひ、あなたの電子工作環境に取り入れてみてください!